一言で言うと、「凛としている」。鮮やかなブルーとオレンジのコントラストが美しいジャケットのイメージそのままの音の世界観。
最初に聴いた時から「これはちょっとこれまでのイレイジャーのアルバムとは違うな」と感じた。相当聴き込まないといけない、迂闊に良し悪しを判断すべき作品ではないと思った。で、リリース直後からほぼ毎日聴き込んだ結果、「傑作だ」と自信を思って言える。
ただし、これまでのイレイジャーらしさの延長線上の音を期待する人にとっては肩すかしであろう。「優しくてハートウォーミング、かつ適度にダンサブルでキャッチーなエレポップ」としてのパブリックイメージをある意味で裏切る、もしくは「過去のイレイジャーらしさの定義を更新する」内容のアルバムになっているからだ。その背景には現在アンディもヴィンスもアメリカ在住で、当然ブレグジットやトランプ政権の誕生に象徴される今の世界情勢に対する彼らなりのステートメントとしての意味合いもある。その結果、アルバム全体を通してアンディのボーカル/歌/歌詞の存在感に焦点が当てられている。
具体的に言うと、デペッシュモードの1st 収録の"Any Second Now"やヤズー時代の"Only You"みたいなアレンジ、つまり”リズムトラック抜き”の曲がほとんどという。スティーヴィー・ワンダーの"Lately"やビートルズの"She's Leaving Home"あたりを思い浮かべてもらえれば分かりやすいだろうか。とは言え、所謂エレクトロポップというジャンルは元々ダンス・ミュージック/クラブ向けの要素との親和性の高いジャンルである。実際に過去のイレイジャーも基本その枠組みから大きく逸脱することなくキャリアを築き上げてきた。しかし今作においては明らかにこれまでと「ボーカル/歌とバックの演奏との間の位相/相乗効果」のあり方が異なっている。彼らのようなバンドがこういったアプローチを取ることがいかに”挑戦的”なことかというのは、ペットショップボーイズやニューオーダーの最近のアルバムがいかにも『EDMの先駆者達による、最新の流行を踏まえた上での大人のダンスミュージック』然としていたことと比較すれば一目瞭然である。つまり、”攻めている”。
かつ、徒らに怒りや攻撃的な感情/ヘイトを煽るようなアプローチではなく、実際に今我々が感じている世界に対する違和感や不安、恐れのようなものを正面から取り上げて、かつネガティブな感情を浄化することで現状と前向きに向き合う/コミットする心的な力を与えてくれるような音楽として仕上げてくれている。これはHIVポジティブであるアンディが免疫療法の一環として取り組んでいる「レイキ(気功と太極拳を合わせたようなエクササイズ/瞑想法)」の影響もあるのかも知れない。よく気功師が電話越しに離れた場所にいる相手を治療する遠隔気功というのを耳にするが、このアルバムの音には聴き手のメンタルにポジティブに作用するような「気」や「念」をアンディが込めているのでは、と思うのである。「音楽を使った遠隔/波動療法」のような。電波な話に聞こえるかも知れないが。
World Be Gone
仕様 | 価格 | 新品 | 中古品 |
CD, 2017/5/19
"もう一度試してください。" | なし | ¥2,420 | ¥2,354 |
CD, CD, インポート, 2017/5/19
"もう一度試してください。" | CD, インポート | ¥2,124 | ¥1,199 |
CD, シングル, インポート, 2017/7/28
"もう一度試してください。" | シングル, インポート |
—
| — | ¥17,036 |
CD, インポート, 2017/5/19
"もう一度試してください。" | インポート |
—
| — | — |
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
3年振り15枚目のオリジナルアルバム。
アッパーチューン全開の前作とは打って変わり、少し地味な印象を受けるかもしれません。
"Erasure"、"Loveboat"に近いかも。
ヘッドフォンでじっくりと聴きたいスルメ盤です。
ヴィンスのシンプルで美しいメロディーラインに無駄を削ぎ落としたシンプルなアレンジ。
そして、最近はご無沙汰だったアンディーのゴージャスなコーラスワークにグッと引き込まれます。
アルバム全体で聴くとさらに魅力が増すと思います。
個人的にはしっとりしたイレイジャーが好きなので☆5
アッパーチューン全開の前作とは打って変わり、少し地味な印象を受けるかもしれません。
"Erasure"、"Loveboat"に近いかも。
ヘッドフォンでじっくりと聴きたいスルメ盤です。
ヴィンスのシンプルで美しいメロディーラインに無駄を削ぎ落としたシンプルなアレンジ。
そして、最近はご無沙汰だったアンディーのゴージャスなコーラスワークにグッと引き込まれます。
アルバム全体で聴くとさらに魅力が増すと思います。
個人的にはしっとりしたイレイジャーが好きなので☆5
2017年5月27日に日本でレビュー済み
力強く、抒情的で美しい。
我々が音楽に美しさを感じる要素はなんだろうと、美しい音楽の条件について再考させられる。
結成32年目にしてこのクオリティとは熱心なリスナーでも驚くしかない。どの曲をとっても、不意にどこかのスピーカーから流れてきたら思わず聞き入ってしまうような佳曲ぞろいで隙のない仕上がりだ。
今作はドラム音、ベース音が生音に寄せた太い音になっており、エレキギターのような音さえ聴こえる。とはいえそこは音職人Vince、シンセ音はアナログの温もりを最大限に生かしていてシンセポップのファンも満足するだろう。シンプルながらしっかりしたバックトラックに、分厚いコーラスが重なり作品の世界が構築されている。
今回と同じセルフプロデュース作品の"Erasure"と共通点もあるが"Erasure"が長い曲で10分もある大作であるのに対し、このアルバムは全編で40分程度と短い。やはり近年の彼らは「ポップソングは腹八分目」を貫いているように思える。
Depeche Modeが新作"Spirit"のラストトラックでOur spirit has goneと絶望的に歌い、Erasureもタイトル曲の"World Be Gone"(あまりに美しい曲!)で世界を憂いているが、ラストトラックの"Just A Little Love"では「憎しみではなく、ちょっとの愛で世界はまわる」とポップに締めくくっている。
Erasureのリスナーなら、Andyの「愛がなくちゃね」というメッセージをしっかりと受け止められると私は信じているし、その思いを様々な形で発信すべきとしみじみ感じた。
我々が音楽に美しさを感じる要素はなんだろうと、美しい音楽の条件について再考させられる。
結成32年目にしてこのクオリティとは熱心なリスナーでも驚くしかない。どの曲をとっても、不意にどこかのスピーカーから流れてきたら思わず聞き入ってしまうような佳曲ぞろいで隙のない仕上がりだ。
今作はドラム音、ベース音が生音に寄せた太い音になっており、エレキギターのような音さえ聴こえる。とはいえそこは音職人Vince、シンセ音はアナログの温もりを最大限に生かしていてシンセポップのファンも満足するだろう。シンプルながらしっかりしたバックトラックに、分厚いコーラスが重なり作品の世界が構築されている。
今回と同じセルフプロデュース作品の"Erasure"と共通点もあるが"Erasure"が長い曲で10分もある大作であるのに対し、このアルバムは全編で40分程度と短い。やはり近年の彼らは「ポップソングは腹八分目」を貫いているように思える。
Depeche Modeが新作"Spirit"のラストトラックでOur spirit has goneと絶望的に歌い、Erasureもタイトル曲の"World Be Gone"(あまりに美しい曲!)で世界を憂いているが、ラストトラックの"Just A Little Love"では「憎しみではなく、ちょっとの愛で世界はまわる」とポップに締めくくっている。
Erasureのリスナーなら、Andyの「愛がなくちゃね」というメッセージをしっかりと受け止められると私は信じているし、その思いを様々な形で発信すべきとしみじみ感じた。
2017年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ここ最近の突き抜けたメロディーは、かげをひそめ、
大きなスケールに挑んだ意欲作。
大きなスケールに挑んだ意欲作。
2017年5月22日に日本でレビュー済み
erasureは、本当にクリエイティヴなアーティストで、アルバムごとに雰囲気がガラリと変わる。"Nightbird"(2005)で成熟した大人のバラードを聴かせたかと思えば、"Tomorrow's World"(2011)では若返り、erasureの軸となる部分はあくまでも保ちつつ、流行のサウンドを積極的に取り入れ、文字通り2010年代の音を我々に届けた。80年代から活動しているアーティストとは思えない若々しさがそこにはあった。
しかし、今回の作品は、賛否が分かれるかもしれない。
というのも、前述した通り、近年の彼らのアルバムはリズムを全面に押し出したど派手なアレンジのアルバムが多く、若者がいくようなクラブで流れていても全く違和感がないようなマッチョなサウンドで人気を博していたのだが、今回のアルバムはそのようなど派手なアレンジは影を潜め、かなりシンプルなアレンジになっているからである。明らかに前作の"The Violet Flame"(2014)とは作品内のテンションが違う。しかし、その分、歌のメロディーが引き立っていて、そこから今回のerasureは、リズムやノリではなく、「歌」で勝負していることがはっきりと伺える。
踊りたくなるような明るいノリノリのポップソングを作るのもerasureであるが、他方で、"Breathe"や"Always"のような親しみやすく、なおかつ美しいメロディも彼らの魅力、あるいは特徴の1つなのではないのだろうか。今回のアルバムは後者に重きが置かれている。従って、1回聴いて「ものすごくイイ!」となるような即効性のあるタイプのアルバムではない。何回も聴いているうちにその美しいメロディに惚れ、気付いたら離せなくなっている、そんなタイプのアルバムであると思う。前作の"The Violet Flame"(2014)のような路線を期待していると、肩透かしをくらってしまうが、erasureのバラードや美しいメロディが堪能できる今回の作品も是非手にとってみて欲しい。
しかし、今回の作品は、賛否が分かれるかもしれない。
というのも、前述した通り、近年の彼らのアルバムはリズムを全面に押し出したど派手なアレンジのアルバムが多く、若者がいくようなクラブで流れていても全く違和感がないようなマッチョなサウンドで人気を博していたのだが、今回のアルバムはそのようなど派手なアレンジは影を潜め、かなりシンプルなアレンジになっているからである。明らかに前作の"The Violet Flame"(2014)とは作品内のテンションが違う。しかし、その分、歌のメロディーが引き立っていて、そこから今回のerasureは、リズムやノリではなく、「歌」で勝負していることがはっきりと伺える。
踊りたくなるような明るいノリノリのポップソングを作るのもerasureであるが、他方で、"Breathe"や"Always"のような親しみやすく、なおかつ美しいメロディも彼らの魅力、あるいは特徴の1つなのではないのだろうか。今回のアルバムは後者に重きが置かれている。従って、1回聴いて「ものすごくイイ!」となるような即効性のあるタイプのアルバムではない。何回も聴いているうちにその美しいメロディに惚れ、気付いたら離せなくなっている、そんなタイプのアルバムであると思う。前作の"The Violet Flame"(2014)のような路線を期待していると、肩透かしをくらってしまうが、erasureのバラードや美しいメロディが堪能できる今回の作品も是非手にとってみて欲しい。
2017年5月20日に日本でレビュー済み
2014年の秋にリリースされた前作「バイオレット・フレイム」から2年と半年。
イレイジャーの通算17枚目となるオリジナル・アルバムが届きました。
第1弾シングル曲「ラヴ・ユー・トゥ・ザ・スカイ」からスタート。
楽しくノリノリな曲なんですが、なんか物足りない・・・
2曲目以降もアンディの素晴らしいヴォーカルが耳に心地よいナンバーが搭載されているのですが・・・
いい曲ばっかりだし素晴らしいメロディーなんだけど、少し期待してたのとは違う。
もっとアッパーでノリノリ&アゲアゲのイレイジャーでいて欲しかった。
今作は、そんな自分にとってかなり物足りない作品でした。
で、ここで思い出したのが通算7枚目のアルバム「イレイジャー」。
あの作品も初めて聞いた時に、こんな物足りなさを感じたものでした。
でも何度も何度も聞いてるうちに、その深淵なる音世界にハマッていき大好きなアルバムになっちゃった。
今作も「イレイジャー」に負けないほどの、いやそれ以上に深淵なる音世界が構築されています。
テクノで作られているはずなのに、まるでアコースティックな旋律に浸っているように感じるんです。
静かに、でも力強く、そして果てしなく押し寄せてくる波のように、じわじわと心に沁み込んで来る音世界です。
先にも書きましたが7作目「イレイジャー」の良さが解るまで、自分はかなり時間がかかりました。
あの時と同様いつかこの「物足りなさ」の本当の良さが解る日が来ることを信じて、聞き続けるつもりです。
もう32年のお付き合いだもん、そう簡単に別れるなんて出来ませんからね。
邦盤にはボーナス・トラックが2曲も入ってます。
シングル曲「ラブ・ユー・トゥ・ザ・スカイ」のリミックスと、カップリング曲「ナッシング・アイ・クッド・セイ」です。
トラフィック社さま、邦盤化とボーナス収録、誠にありがとうございます。併せて楽しませていただきます。
イレイジャーの通算17枚目となるオリジナル・アルバムが届きました。
第1弾シングル曲「ラヴ・ユー・トゥ・ザ・スカイ」からスタート。
楽しくノリノリな曲なんですが、なんか物足りない・・・
2曲目以降もアンディの素晴らしいヴォーカルが耳に心地よいナンバーが搭載されているのですが・・・
いい曲ばっかりだし素晴らしいメロディーなんだけど、少し期待してたのとは違う。
もっとアッパーでノリノリ&アゲアゲのイレイジャーでいて欲しかった。
今作は、そんな自分にとってかなり物足りない作品でした。
で、ここで思い出したのが通算7枚目のアルバム「イレイジャー」。
あの作品も初めて聞いた時に、こんな物足りなさを感じたものでした。
でも何度も何度も聞いてるうちに、その深淵なる音世界にハマッていき大好きなアルバムになっちゃった。
今作も「イレイジャー」に負けないほどの、いやそれ以上に深淵なる音世界が構築されています。
テクノで作られているはずなのに、まるでアコースティックな旋律に浸っているように感じるんです。
静かに、でも力強く、そして果てしなく押し寄せてくる波のように、じわじわと心に沁み込んで来る音世界です。
先にも書きましたが7作目「イレイジャー」の良さが解るまで、自分はかなり時間がかかりました。
あの時と同様いつかこの「物足りなさ」の本当の良さが解る日が来ることを信じて、聞き続けるつもりです。
もう32年のお付き合いだもん、そう簡単に別れるなんて出来ませんからね。
邦盤にはボーナス・トラックが2曲も入ってます。
シングル曲「ラブ・ユー・トゥ・ザ・スカイ」のリミックスと、カップリング曲「ナッシング・アイ・クッド・セイ」です。
トラフィック社さま、邦盤化とボーナス収録、誠にありがとうございます。併せて楽しませていただきます。
2017年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過去の焼き回しのような曲ばかりで全く新鮮味がない。前作の方が良かった。唯一良かった曲がボーナストラックのradytron remixのみと、皮肉な結果であった。
他の国からのトップレビュー

Cliente Amazon
5つ星のうち5.0
Perfetto
2022年1月14日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
Arrivato Perfetto , come in descrizione
Yo
Yo

Marlon Roberto Scarel
5つ星のうち5.0
Um Erasure além do Erasure
2020年8月6日にブラジルでレビュー済みAmazonで購入
Um trabalho muito diferente do que a gente pensa de como seria a música do Erasure. Diferente, não-dançante, um álbum para se ouvir numa tarde nublada com um vento frio...

Fer
5つ星のうち5.0
Excelente
2019年11月3日にメキシコでレビュー済みAmazonで購入
Excelente producto, altamente recomendable

John Heck
5つ星のうち5.0
Love You To The Sky & Just A Little Love ...
2017年8月25日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
A magnificent triumph! Bell and Clarke embody maturity, clarity and general understanding via poignancy and subtle depth with: World Be Gone. Sure, all Erasure fans want an entire CD that we can go crazy over and dance to - me included!
However, sit back and listen to the lyrics. Let Bell's lilting voice smother you. Let Clarke's soaring swells mysteriously make you swoon.
These guys are pure dynamite and...Love You To The Sky & Just A Little Love - c'mon...Erasure never disappoints...they get better as their talent and insight grows. 5 stars!
However, sit back and listen to the lyrics. Let Bell's lilting voice smother you. Let Clarke's soaring swells mysteriously make you swoon.
These guys are pure dynamite and...Love You To The Sky & Just A Little Love - c'mon...Erasure never disappoints...they get better as their talent and insight grows. 5 stars!

duperche david
5つ星のうち5.0
A découvrir absolument
2019年8月28日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
Merveilleux album